インテンシティ

Restoration of the Piano's intensity mechanism

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音量調節を担うインテンシティユニットは、ラバークロスやレザー等の劣化により空気漏れが発生し、バルブとニューマチックは作動していませんでした。

そのためミュージックロールから信号が送られてきても、音量調整はまったく機能しない状態でした。

ユニットを分解し、劣化したレザーのパウチを剥がします。

交換するため、すべての寸法を取ります。

ニューマチックのラバークロスは熱を加えて接着を剥がします。

以前に修復されたもので水性接着剤が使用されているものは板材の接着面がもげないように慎重に剥がします。

クレッシェンドニューマチックも音量調整機能の一つです。

クレッシェンドとデクレッシェンドのみならず、インテンシティユニットの負圧制御の一部も担います。

こちらもラバークロス、レザーパウチともに劣化して機能しない状態でした。

クレッシェンドニューマチックも分解、劣化したレザーパウチ、ラバークロスを剥がします。

すべての寸法を取ります。

音量調整のための空気の流量を調整するレギュレータバルブ。

金属のロッドが錆びつき、繊細な動きができない状態でした。

ニューマチックの修復。

まずヒンジ部を接着、帆布を使用。

オリジナルの板が反ってしまって使えないものについては板から製作。

次にラバークロスを接着。

接着に現代の水性接着剤を使用すると次回修復時に板材を傷める可能性があるため、熱で簡単に剥がすことのできる膠を使用しました。

オランダのオルガン修復師から提供してもらった厚みのしっかりとしたラバークロスを使用しています。

音量の段階をつけるインテンシティニューマチック。

元の板は反りがひどく、音量調整に直接関わる部分であるため、すべて製材して交換。

ニューマチックの開度を決める治具も製作。

バルブを動かすためのレザーパウチの貼り替え。

接着面が荒れているので、穴径に合った専用丸棒を製作し、サンドペーパーで研磨します。

レザーの接着。

バルブとの接触部には、レザーが傷まないように予め厚紙のディスクを接着。

パウチの可動域を決めるたわみを作るため、専用のパウチセッターを製作し、パウチを目的のたわみの形に吸引しながら膠で接着します。

膠接着後は、真鍮で製作した治具で余分な膠を排出しながら圧着。

インテンシティユニットに使用されている2種類のバルブ。

バルブの木部、レザー、真鍮製のバルブシート、パッキン部分のコルクのすべてが劣化により空気の漏れの原因となっていました。

バルブのレザーを交換して動作テストを試みましたが、負圧が安定しないため、バルブ木部も製作して交換。

バルブボックスのパッキンとなるコルクも劣化して硬化していたため、木材を傷めないように慎重に剥がし、研磨して平面を出します。

レザーのパッキンに交換。

バルブシートは真鍮で製作。

バルブが密着する平面が荒れていると密閉性が保てないため、負圧が安定しません。

木製のバルブボックスは元のシールが劣化しており、空気の漏れを引き起こすため、シェラックを空気の流路に流し込みシールし直します。

音量調整の動作テストで、負圧制御が安定せず、バルブが振動を起こしてしまうハンチングが発生。

そのため、空気の流路調整を担うレギュレータバルブの安定性を高めるため、アルミで製作し交換。

インテンシティニューマチックの位置決め。

元のニューマチックは微妙に位置がズレていました。

この位置のズレは、音量の段階決定に直接影響するため、正確に位置を決め直します。

インテンシティニューマチックのラバークロス貼り替え。

他のニューマチックと違い、繊細な動きが必要なため、厚みのあるラバークロスでは抵抗が大き過ぎることが後のテストで判明しました。

敏感な動きのできる薄いラバークロスに貼り直し。

音量を抑えるSubduedスイッチが入ったときに働くバルブ。

動きが悪いものはバルブボックスを分解します。

バルブレザーの交換。

バルブがシートの面に密着する邪魔をしないように、バルブステムとの接合部はフレキシブルにする必要があります。

そのため、レザーと釘一本でしか留まっていません。

その通りにレザーを接合します。

レザーパウチの貼り替え。

ディスクも接着。

音量の段階をつけるための動きを伝えるレバーのヒンジ部分。

接合部に微妙なズレが見受けられたため、削り合わせます。

レバーのヒンジ部は安定した動きを保つため、元のラバークロスではなく、しっかりとした帆布に交換。

そのために留めネジを入れる部分を埋木。

ネジを入れ直します。

レバーのヒンジ部のズレを鉋で削り合わせ。

ヒンジを帆布に交換。

クレッシェンドニューマチックもレザーパウチ交換。

インテンシティユニットとはパウチ径とたわみも異なるので、それに合わせてセッターも製作。

クレッシェンドのバルブボックスのパッキンのレザー交換。

ボックス内の空気の流路はシェラックでシール。

バルブシートは平面研磨、バルブレザーは交換。

クレッシェンドニューマチックにも音量調整のための負圧を制御する機能が備わっています。

制御の空気流量を調節する弁の支点の位置が変わると、制御の安定性も変わってくるので、動作をテストしながら微調整します。

レギュレーターバルブを稼働させる鉄製のロッドは錆びていたので、金属精密加工屋に発注。

1000分の1単位まで径を合わせていただきました。

その後、寸法に合わせてネジ切り。

ネジピッチはアメリカのインチネジなのでインチ専用工具を調達。

軸受は摩擦抵抗の少ないPOM樹脂で製作。

音量調整の信号の繊細な動きのため、できるだけ滑らかに駆動するようにします。

インテンシティユニットを単独で動作テストするための治具。

ある程度各部品が仕上がると、動作テストで負圧調整を確認し、その結果を見て各部品を微調整。

動作テストは完成まで何度も繰り返します。

単独のテストで動作が安定してくれば、他の連動するユニットを接続して動作テストします。

それを終えると、ようやく、本体へ組み付けます。

本体に組み付けた後もテストを重ねます。

それでも問題は必ず生じるので、その都度ユニットを取り外して単独チェックに戻ります。

こうして安定性を確保していきます。