ポンプ

Restoration of the pump mechanism

(※画像をクリックして頂くと、拡大表示されます。)

前回の修復でもバキュームポンプを使用することを目的に修理が進められた様子がうかがえますが、パイプの接続など、かなりアレンジされていました。

点検口から内部の偏心クランクが見えます。

ポンプディストリピューターユニット。

この部分がプレイ時とリロール時のバキュームラインを遮断出来る様になっている重要なユニット。

ロータリーポンプ内のクランクシャフトと、それに接続されるニューマチック。

4つのニューマチックを繋ぐパネル。

それぞれのニューマチックの負荷テスト。

リークがないか、ベロ―クロスからの漏れがないかを確認。

この段階では一応、及第点としました。

何故なら、修復前に本体で稼働させて調べる事が出来なかった為。

Ampicoのロータリーの問題点として、このクランクシャフトからのノッキングノイズがあります。

その理由はブッシングの摩耗によるもの。

クランクシャフトと取付金具を一体で取り外します。

取り外されたシャフト。

元に戻すためにナンバリングは必須。

取り外されたクランクシャフト。

偏心シャフトに取り付けられたクランクベース。

ここもナンバリングは必須。

シャフトから古いブッシングを取り除きます。

正確に穴繰りを行います。

ブッシングの貼り替え。

ここにはテフロンなど新素材は使えません。

また、ベアリングも振動運動の為、一方向への負担がかかるので使用不可。

カシミアのフェルトクロスを使用します。

柔軟性があり、干渉ノイズが出ません。

取り付けアームのシャフトにガタが生じていました。

アンピルの上でカシメ直します。

設着剤が乾けば取り付けの前にグリスアップ。

加えてグラファイトパウダーも塗布します。

元の位置に組付け。

ポンプディストリピューターユニット。

気密性を保たなければいけないのですが、パッキンにはフェルトが使用されていました。

これでは気密性が保たれるはずがありません。

中央に見える穴はスタックへの経路へ通じていますが、テープで塞がれていました。

上に見える四角いパウチがこの部分を遮断するのですが、劣化により機能を果たさなかったのであろうと思われます。

機能しなくなったバルブ。

塞がれていた穴部分のフランジを取り外します。

上面が平らに削り込まれていました。

この部分は作り直すしか方法はありません。

カエデの角材を使用することに。

帯鋸で加工前の粗取りをしておきます。

旋盤に取り付け、加工開始。

穴径、高さなども忠実に再現します。

本体との嵌め合い具合を確認。

研磨後に接着。

他に崩れていた場所などを、当て板をして修復します。

貼り替えられたバルブパウチが見えます。

ホコリ等の侵入を防ぐ金網も取り付けます。

修復前には取り付けられていませんでしたが、本来取り付けられている部品です。

パッキンも革を使用します。

各ユニットを取り付け。

チューブもオリジナル指定の寸法の物を使用。

この配管が正解。

ポンプイコライザーのクロスも交換済み。

本体へ組み付けます。

モーターのマウントユニット。

左右にある二本のスライダーは、ベルトのテンションを調整するためのものです。

制振用のマウントラバーも劣化しており、ゴム素材を利用し新たに作り直しました。

取り付けられたモーター。

配線は本体のソケットへ入れます。

ベルトは細幅Vベルトを使用。

日本でも手に入れられるサイズは3V-670。

画像の品番はアメリカ表記。

本体へ取り付けた後、実際に駆動させて負圧を調べたところ、適正値に僅かに及ばないことが判明しました。

ベロークロスの貼り替えを決行。

内部に仕込まれている逆止弁。

これも革を使用しています。

ベースの革を剥がした所、欠けた状態で修復されていたことが判明しました。

逆流していた可能性は否めません。

全てのベロ―クロスを剥がし、接着面と素地をクリーニング。

4つのバキュームニューマチック全て貼り替えます。

クリーニング後、フエルトなどを貼りなおします。

ヒンジも帆布を使用し、すべて取り換えます。

牛革を使用し、膠で接着します。

逆止弁も同じ素材を使用。

この部分は後から手を入れる事が出来ないため、ミスは許されません。

劣化し、起毛が発生していました。

4つのバキュームニューマチック。

ここに使用するクロスは、強力な負圧に耐えられるような、ヘビーベロ―クロスという厚みのある物を使用します。

4つを組付け。

パネルも革のパッキンに交換しました。

修復完了。

クロスを貼り替える前にクランクシャフトの修復を行ったため、全てを取り外して再組付けによる影響が出るのでは無いかと心配しましたが、問題なく稼働し、負圧も適正値となり4つのニューマチックも均等に吸引しています。

以前の修復のまま大丈夫だろうと思っていましたが、逆止弁に問題があったのは分解して初めて発見出来ました。

バキュームを司る重要で一番稼働させられる場所でもある為、改めて手を入れておくべき箇所であったと認識されられました。

アンプリファー内部の外気導入弁。

モディファイユニットからの信号を受けて作動します。

外気導入弁と調整スプリング。

負圧の基準値を司るニューマチック。

ブリリアント時にこの弁が閉まり、フォルテッシモの音量が上がります。

音量を変えるモードとして、このピアノはノーマルとサブデュードの2種類でしたが、この機能を有効に利用できる改良点があったので、上記2種類に加え、ブリリアントモードを追加しました。

空気の流れを変えるスイッチの持ち合わせがあったので、変更しました。

ポンプに取り付けられているイコライザーニューマチック。

古いクロスを剥がすと、中には強力なスプリングが2本も入っています。

スプリングのテンションに耐えられる様に、幅方向を帯で補強してあります。

ニューマチック内部ヒンジ。

これも取り換えます。

補強の帯を取り付け。

クロスを貼り込む前にスプリングを仕込んでおきます。

この時に動かして内部に干渉しないかを確認します。

常に閉じたり開いたりする場所なので、作動時に内部に当たればノイズが発生します。

両側の貼り付け。

後ろ部分の貼り付け。

重ね合わさっているところから空気漏れが起こらない様に、慎重に接着。

ピンネイルで押さえます。